覚え書き > HLaTeX文書のプレビューとPDF作成

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TeXで朝鮮語を使う+PDFの作成においてはHPackをはじめ,朝鮮語TeX文書を作るためのいくつかのパッケージを紹介しました. またHLaTeXで朝鮮語文書を作成するではHLaTeXの新しいバージョンを導入する手順を紹介しました. ここでは,HLaTeX文書をプレビューし,さらにPDFを作成するための手順を見ていきます.

ここではHPackではなく,HLaTeX1.0.1を用います.HLaTeXの新しいバージョンを한글라텍 프로젝트よりダウンロードし,既にインストールしてあるものとします.フォントについては,基本フォント3書体(明朝,ゴシック,タイプ字)のみを使用します.また,dviプレビューワとしてDvioutを用います.xdviなどそのほかのアプリケーションについては(本人がよく知らないので)触れません.

Dvioutによるプレビュー

以下のようなLaTeXソースファイルを準備します.

\documentclass{article}
\usepackage{hangul}
\begin{document}
안녕하세요?
\end{document}

このファイルをEUC-KRエンコーディングで保存し(hello.tex),LaTeXで処理します.するとhello.dviというファイルができます.

次にDvioutの設定を行ないます.まずはDvioutを起動し,"Option"メニューから"Setup Parameters..."を選択します.下のようなプロパティの画面が開きます.

dviout font1

上の図は,プロパティの中からさらに"Font"を選択した状態です.ここでダイアログのうちタブの下側,"TEXROOT"という部分が重要です.既にDvioutを導入したときに,標準的なTeXシステムが検出されていれば,この値は$TEXMF/fontsディレクトリへのパスが格納されているはずです.

ここではHLaTeXをF:\cygwin\usr\local\share\texmf-hlatexにインストールしたとします.このディレクトリ以下にあるfontsディレクトリへのパスを,TEXROOTに追加してやりましょう.すなわち,

F:\cygwin\usr\local\share\texmf\fonts;F:\cygwin\usr\local\share\texmf-hlatex\fonts

のように,セミコロンに続けてHLaTeXのfontsディレクトリへのパスを追加します.プレビューするための設定はこれで終わりです.

ただし,dvioutからttf2pkなどを利用する設定が既になされて いる必要があります.また,以前のバージョンをインストールしたときに作成されたPKファイルなどは削除しておきましょう.

TEXROOTの値に追加を加えたのち,"Save"ボタンを押して設定を保存します.先ほど作成したhello.dviファイルをプレビューしてみましょう.フォントファイルが作成され,プレビューが現れるはずです.

うまくいかない場合は,

といった点を確認してみてください.次は,PDFの作成です.

dvipdfmxによるPDFの作成

dvipdfmxを使って,フォントを埋め込まない小さいサイズのPDFを作ってみましょう. 基本的な方法は,TeXで朝鮮語を使う+PDFの作成や,CJKパッケージで多言語を使うなどで見たのとほぼ同じです.

以下の手順が必要です.

まずはmapファイルを作成します.以前中期朝鮮語PDFの作成において,"dvipdfmxの準備"で説明した,forhangul.mapというファイルに追加することにしましょう.なければ作成します.$TEXMF/fonts/map/dvipdfm/baseディレクトリにこのような名前のテキストファイルを作成してください.

mapファイルは,dviファイルで用いられているフォントと,そのエンコーディング,実際にPDFで使うフォントとの対応を記述したもの(と思われます)です.ここでは以下の記述を加えます.

wmj@UKS-HLaTeX@		UniKS-UCS2-H	HYSMyeongJo-Medium
wmjb@UKS-HLaTeX@	UniKS-UCS2-H	HYSMyeongJo-Medium,Bold
wgt@UKS-HLaTeX@		UniKS-UCS2-H	HYGoThic-Medium
wgtb@UKS-HLaTeX@	UniKS-UCS2-H	HYGoThic-Medium,Bold

ここでは明朝体の普通の書体と太字,ゴシック体の普通の書体と太字の4種について,それぞれCID-Keyedフォントを設定しています.Adobe Readerで閲覧する場合,韓国語サポートがインストールされている必要があります.

また,一番右端の列,"HYSMyeongJo-Medium"の列を,たとえば

wmj@UKS-HLaTeX@		UniKS-UCS2-H	:0:!batang.ttc
wmjb@UKS-HLaTeX@	UniKS-UCS2-H	:0:!batang.ttc,Bold
wgt@UKS-HLaTeX@		UniKS-UCS2-H	:2:!gulim.ttc
wgtb@UKS-HLaTeX@	UniKS-UCS2-H	:2:!gulim.ttc,Bold

とすると,それぞれWindowsのフォントが適用されます.ただしフォントは埋め込まれません."!"を削除すれば,それぞれフォントが埋め込まれます.

さて,これらの設定を書き込んだファイルを読み込むように,$TEXMF/dvipdfm/config/dvipdfmx.cfgに記述を加える必要があります.ファイルの末尾に以下を加えてください.既に追加してある場合には不要です.

f forhangul.map

これで準備は完了です.必要な場合にはmktexlsrを実行してください.それでは,コマンドラインから先ほどのhello.dviを処理してみましょう.

> dvipdfmx hello.dvi
hello.dvi -> hello.pdf
[1]
13222 bytes written

とすると,hello.pdfが出来上がります.

もし「UniKS-UCS2-Hが見つからない」といった類のエラーが出る場合,実際にこのCMapが存在しないか,あるいは格納先のディレクトリが見つかっていない可能性があります.

CMapファイルのひとつであるUniKS-UCS2-Hは,Adobe Readerの韓国語サポートをインストールすると,Readerのディレクトリ内にあるResource以下,CMapというディレクトリに格納されます.TeXでは,設定ファイルである$TEXMF/web2c/texmf.cnfに記述されています.CMAPFONTSという変数を見ると,

CMAPFONTS = .;$TEXMF/fonts/cmap//;c:/usr/Resource/CMap//

のように定義されています(場合によっては異なることもあります).ということは,定義されているパスの中に必要なCMapが見つかればいいわけです.Adobe ReaderのCMapを利用する場合には,上記のCMAPFONTSにパスを加えてやればいいでしょう.あるいは既に定義されているパスのディレクトリに,CMapファイルをコピーあるいは移動してやるのもひとつの方法です.

まとめ

ここまで,HLaTeX文書をDvioutでプレビューし,dvipdfmxでPDFに変換するための手順を見てきました.現代朝鮮語だけの文書を作る際には,こちらのほうがきれいで小さいサイズのPDFを作ることができるでしょう.特に難しい設定もないので,必要な部分さえ記述を追加・修正すればすぐできると思います.

何か問題点,間違いなどがありましたらご一報ください.よろしくお願いいたします.