Hangul-ucsのインストール

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ここでは,Hangul-ucsパッケージのインストールとその使用について見ていきます.TeXで朝鮮語を扱うでも触れたように,UnicodeベースのLaTeXマクロパッケージとしては,唯一ハングルを処理することができます.作者はDohyunKimさんとKarnesさん.Hangul-ucsとはdhucsをはじめとするマクロやフォントのファイル群の総称です.以下では個別のファイルに言及する場合を除いて,「Hangul-ucs」という名称を用います.

なお,このパッケージについての一次的な情報としては,KTUG FAQのHangul-ucsをご覧ください.

インストールの前に

必要なもの

Hangul-ucsをインストールするためには,以下が必要です.

Hangul-ucsのダウンロード

Hangul-ucsの入手には,いくつかの方法があります.まずは,dhucsとその他フォント関連のパッケージを個別にダウンロードする方法.以下から,

の4つのアーカイブを入手します.dhucsは,CVS版が2007年2月10日付けでバージョン3.1.6となっています.

cvsを利用しても入手が可能です.上述のファイルすべてをまとめて入手できます.

> cvs -d :pserver:anonymous@cvs.ktug.or.kr:/home/cvsroot login
> cvs -d :pserver:anonymous@cvs.ktug.or.kr:/home/cvsroot co hangul-ucs

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Hangul-ucsのインストール

もし圧縮されたアーカイブをダウンロードした場合は,適当なディレクトリに展開しておきましょう.なお,

ファイルのコピー

それぞれのディレクトリツリーを,$TEXMF(ここではtexmf-localを例にしています)以下のごとくコピーします.

dvioutのための設定

dvioutなどでプレビューするために,$TEXMF/ttf2pk/base/ttf2pk.cfgに以下を追加します.

map +unttf2pk.map

dvipdfmxのための設定

dvipdfmxでPDFを作成するために,$TEXMF/dvipdfmx/config/dvipdfmx.cfgに以下を追加します.

f cid-unttf.map
f cid-trivcj.map

以上の作業が終わったら,とりあえずmktexlsrを実行しておきます.

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Hangul-ucsを使ってみる

Hangul-ucsの「文書」の項目から,dhucsdoc.pdfという説明ファイルをダウンロードして,テストのファイルを処理してみましょう.

オプションのうち,dhucs-gremph(\itshapeに該当するハングルをグラフィック書体に変える)を使おうとするとxkeyval.styがないといわれたり,dhucs-ucshyper(PDFのしおりにハングルを挿入可能にする)を使おうとするとifpdf.styがないといわれたりするかも知れません.ifpdf.styはCTANのこちらから,xkeyvalパッケージも同様にCTANのこちらより入手できます.

以下のような,簡単な例で試してみましょう.注意すべきは,ドキュメントクラスとしてarticleを使うこと(jarticleなど日本語TeXの文書クラスではない),UTF-8エンコーディングで保存すること,タイプセッタとしてlatexで処理すること,などが挙げられます.

\documentclass{article}
\usepackage{dhucs}

\begin{document}
안녕하세요?
\end{document}

問題はなかったでしょうか?このままdvipdfmxで処理すれば,PDFが作れます.dvioutなどでのプレビューも可能なはずです.

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Hangul-ucsにおける日中韓の混在文書

さて,Hangul-ucsを使う最大の利点(他にあるかも知れませんが)は,日本語や中国語を混在させることが可能だという点にあるでしょう.詳しくはパッケージに添付の文書を見ていただければよいのですが,ここでは簡単に説明しておきます.

この機能は,dhucs-trivcjというパッケージにより提供されています.既にインストールされていることになります.プリアンブルの部分で上記パッケージを読み込み,\japanese\chineseというふたつの環境を使って記述します.例えば,

\documentclass{article}
\usepackage{dhucs}
\usepackage{dhucs-trivcj}

\begin{document}
안녕하세요?

\begin{japanese}
こんにちは.
\end{japanese}
\end{document}

のように,日本語の段落をjapanese環境で囲ってやります.段落でなく,途中の一部分だけ日本語にしたい,というような場合には,

\DeclareTextFontCommand\textjp{\japanese}

のようなコマンドを用意し,必要に応じて使い分けることができます.

dvioutによるプレビュー

dhucsdoc.pdfによると,「cnmjやjpmjといったフォントはDVIビューワで見ることはできない.DVIPDFMxを利用してPDFに変換すれば処理できる」とあります.確かにこのままの状態では,上の日韓混在文書をdvioutでプレビューすることができません.ですが,日本語に関しては以下のようにすればとりあえずプレビューができるようになります.

まず,先ほどのunttf2pk.mapをコピーしたディレクトリ,おそらく$TEXMF-LOCAL/fonts/map/ttf2pk/となるでしょうが,そこに,

ojpmjm@Unicode@	msmincho.ttc	Fontindex=0
ojpgtm@Unicode@	msgothic.ttc	Fontindex=0

のように記述したファイルを作成し,jpttf2pk.mapとでも名前をつけておきます.そしてttfotns.map

map +jpttf2pk.map

と記述してやり,mktexlsrを実行してやれば,dvioutでも日本語部分が正常にプレビューできるようになります.中国語もフォントの名前が違うだけですので,ほぼ同様なやり方で可能になると思われます.

以上,Hangul-ucsパッケージのインストールについて見てきました.ここで説明したのはごく一部分です.dhucsdoc.pdfにあるように,これ以外にも豊富なオプションが用意されています.韓国語だけでなく日本語や中国語も使えるという点,しかもCJKパッケージよりも韓国語の組版に特化して開発されているという点は注目すべきです.何よりハングルの書体が豊富で,表現の幅が広がります.ぜひ一度試してみてください.

Miscellaneous

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