以下の内容のうち,
この部分のように
コメントとして記されているのは,その項目自体についての説明というより,その項目と関連する補足説明です.
한다体の平叙文・現在について,形容詞と存在詞,指定詞では基本形と한다体の形が結果として同じものとなります.考え方としては「基本形がそのまま使われている」のではなく,やはり「語幹に語尾の-다がついた」ということになります.
本書では한다体の疑問文を作る語尾として,動詞につく場合は-느냐を挙げておきました.ただ,本書でも触れたように,話しことばでは品詞の区別なく-냐が用いられる傾向があります.韓国の「標準国語大辞典(표준국어대사전)」でも,-냐についての文法情報を2015年に修正し,動詞にもつける(ただし主に口語で用いられる)という記述がされるようになりました.まだ話しことば的な語調であるとは思いますが,品詞を問わず-냐をつける,ということが「非標準」ではなくなりました.そのため,本書の解答でも( )内に-냐を用いた答えを併記しています.
なお,動詞の場合に-느냐を用いると,やや硬い印象を与えることがあります.韓国の時代劇などでもよく用いられています.
疑問文の例文中,下から2つ目に휴가 때는 어디 갔다 왔냐?「休暇の時はどこに行ってきたのか?」という例を挙げてありますが,イントネーションと文脈によっては「〜どこか行ってきたのか?」という〈不定〉の意味にもなります.
活用について,으語幹(뜨다),ㅎ不規則(그렇다),ㅅ不規則(짓다)が含まれています.注意しましょう.
本文で触れた가거라や오너라といった表現は,通常の話しことばではあまり用いられません.年齢の高い人が用いるなど,使用が限定的です.
르不規則(서두르다),ㄷ不規則(듣다)が含まれています.命令文を作る際に注意が必要です.
それぞれの問題文の文末は해요体だけでなく합니다体も出てきていますが,答えを作る際は,「例」の通り해요を用いて引用してください.例えば①であれば「〜始まるそうです」,②であれば「〜起こしたそうです」といったような文を作ればOKです.③ならば「〜かかるだろうと言っています」,くらいの文になるでしょう.
平叙文の引用とは異なり,疑問文や命令文,勧誘文の引用表現では,「〜そうです」という日本語訳は不自然です.「〜と言っています」といった訳がより良いでしょう.
本文でも触れていますが,한다体の命令文を作る際の語尾-아라/어라は,引用表現では使いません.준비해라고 했잖아요.(×)という表現は誤りとなりますので注意してください.
4つ目の例文で봐 달라고という表現が出てきますが,봐 주다で「大目に見る」といった表現になります.お願いする場合には한 번만 봐 주세요.「一度だけ大目に見てください」と言う表現が用いられます.
第35課の問題2と同じく,ここでもやはり「〜かと言っています」のように해요を用いて引用してみましょう.
本書に掲げた表は,하다の部分を基本形にしてあるので,何が縮約されたのか分かりにくいかもしれません.以下の表にそれぞれ語尾がついた元の形式を挙げておきました.
例 | 縮約形 | 元の形式 |
---|---|---|
간다고 하다 | 간답니다 | 간다고 합니다 |
간다는 | 간다고 하는 | |
간대요 | 간다고 해요 | |
책이라고 하다 | 책이랍니다 | 책이라고 합니다 |
책이라는 | 책이라고 하는 | |
책이래요 | 책이라고 해요 | |
받느냐고 하다 | 받느냡니다 | 받느냐고 합니다 |
받느냐는 | 받느냐고 하는 | |
받느냬요 | 받느냐고 해요 | |
바쁘냐고 하다 | 바쁘냡니다 | 바쁘냐고 합니다 |
바쁘냐는 | 바쁘냐고 하는 | |
바쁘냬요 | 바쁘냐고 해요 | |
먹으라고 하다 | 먹으랍니다 | 먹으라고 합니다 |
먹으라는 | 먹으라고 하는 | |
먹으래요 | 먹으라고 해요 | |
놀자고 하다 | 놀잡니다 | 놀자고 합니다 |
놀자는 | 놀자고 하는 | |
놀재요 | 놀자고 해요 |
いくつか例を見てみると,간다고 하-ㅂ니다の-고 하-の部分に縮約(脱落)が起こり,간답니다のような形式になるわけです.他の形式も見てみると,
となります.最後の해요の縮約については,母音字母ㅐの成り立ちとしてㅏ+ㅣ=ㅐとなっているので,해=하+ㅣという組み合わせと見ることができます.ですので,간다고 하-ㅣ요から-고 하-が脱落し,간다+ㅣ요,再びㅏ+ㅣ=ㅐに戻して,간대요となる…,と説明が可能かと思います.
こうした縮約は,해요自体を過去形にした場合にも起こります.例えば간다고 했어요「行くと言ってました」であれば,上と同じような手順で간댔어요ということになります.
上記のような手順を覚えるよりは,-고 해-の縮約については,-다고 해->ー대ー,-냐고 해ー>-냬-,-라고 해->-래-,-자고 해->-재-というように機械的に覚えるほうが早いでしょう.疑問の場合のみ,母音がㅒとなる点に注意してください.
直接引用の際に用いられる-(이)라고は助詞であるため,引用符の後ろにつけて書きますが,하고は助詞ではなく,하다の活用形であるため,引用符とは離して書きます.
それぞれ疑問文の引用において,-냐を用いた場合の答えが可能です.
本文で「-겠-の前に〈尊敬〉や〈過去〉の接尾辞を置くこともできます」としましたが,これらの接尾辞を並べる際,順序は-(으)시-〈尊敬〉+-았/었-〈過去〉+-겠-〈意志〉・〈推量〉となります.
構成する文法要素は残しつつ,-겠-を追加してください.例で説明すると,만들어요<만들다+-아요/어요ですので,間に-겠-を挿入して만들다+-겠-+-아요/어요,すなわち만들겠어요が答えになります.
「해요体の形から요を取る」というように覚えても構いません.指定詞の場合のみ当てはまりませんので,それぞれ形を覚えましょう.
また,接尾辞-겠-を使う場合も다 먹을 수 있겠어?「全部食べられそうか?」といった表現が可能です.
同じくぞんざいな文体である한다体と訳が似ていますが,한다体は書きことばで主に用いられ,해体は話しことばで主に用いられる点が異なります.
해体に直した後の日本語訳(例)は以下のようになります.
通常の해요体の疑問文に比べて,-나요?や-는가요?,-(으)ㄴ가요?を用いると,やや柔らかい印象を与えます.
例に挙げた옳아요?の基本形は옳다です.
また,この問題ではそれぞれの形から基本形に直し,さらに品詞によって-는가요?または-(으)ㄴ가요?を付ける必要があります.
②と関連して,개인적「個人的」のように,名詞に-적<html><的></html>という接尾辞をつけて,日本語の「〜的」に当たる語をつくることができます.「〜的な」という連体形を作る場合には指定詞-이다に,現在連体形を作る-(으)ㄴをつけ,例えば개인적인(<-이다+-(으)ㄴ) 이유「個人的な理由」のようなフレーズを作ります.また,「〜的に」のような副詞句を作る場合には,助詞の-(으)로をつけます.例えば경제적으로 문제가 있다.「経済的に問題がある」など.
なお,この問題では「経済的」+「理由」のように名詞を並べる,ということになっています.