既にTeX/LaTeXの基本システムがインストールされているものとします.CJKパッケージに関し,日本語で読むことのできる情報としてはTeX Wikiの記事があります.特にフォント設定を自前で行なう方法が記述されており,有用です.
以前に書いた,CJKパッケージで多言語を使うやTeXで朝鮮語を使う+PDFの作成などの内容を元に,さらに改訂を加えてあります.今後はこの文書を参照ください.
配布元のFTPサイトから,最新版(2007年2月20日現在バージョン4.7.0)をダウンロードします.ソースファイル(cjk-4.7.0.tar.gz)と,ドキュメント(cjk-4.7.0-doc.tar.gz)を適当なディレクトリに展開します.後はdocディレクトリの中にあるINSTALLファイルを見ながらインストールすればいいはずです.
基本的には,texinputディレクトリをCJKとリネームして,LaTeXをインストールした$TEXMF\texディレクトリ以下にコピーします.後はドキュメントを適当なフォルダに格納します.
フォントは必要なものをCTANのfonts/CJK以下からダウンロードしてください.READMEのリストを一部転載すれば以下のとおり.
とりあえず,日本語と朝鮮語に関しては上記のファイルのみで充分です.これらを$TEXMFの上位ディレクトリで展開すると,docとfontsにファイルが格納されます.
設置が完了したら,mktexlsrを実行しておきます.
フォントを入手してインストールすれば,CJKパッケージで組版するための準備は終わっています.基本的にこのままでもdvioutでプレビューすることができると思います.CJKパッケージのソースアーカイブに含まれている,exampleディレクトリのファイルを用いていろいろ試してみてください.
ただし,上記のフォントだけでは組版できないファイルが多く,いくつか別個にフォントをダウンロードする必要があるようです.詳細は,CJKパッケージに付属のファイル(特にexamples/README)を参照してください.
[2007/04/18 追加] dvioutでプレビューしてみると,やたらと字間がつまっている場合があります(日本語と朝鮮語では既に確認ずみ).朝鮮語の場合は別の文書で述べますが,日本語については以下で説明しておきます.
ダウンロードしてきたフォントのファイルではなく,.tfmファイルを新たに作りなおします.$TEXMF/fonts/tfm/jisx0208/jsso12/(ディレクトリは適宜読みかえてください)で,以下を実行します.既にある.tfmファイルは削除しておいてください.
> ttf2tfm msmincho.ttc -q -f 0 jsso12@UJIS@
これで字間の詰まっていない文書ができあがるはずです.中国語は試していないのですが,同様な問題がある場合に,同じ方法で解決できると思います.(追加ここまで)
まずは\usepackage{CJK}でパッケージを呼び出します.次にdocument環境の中でCJKという環境を用いてCJK言語を記述します.CJK環境は以下のようになっています.
\begin{CJK}[<fontencoding>]{<encoding>}{<family>} ... \end{CJK}
<encoding>の部分に,該当するエンコーディングを記述します.例えばJISやSJIS,KS,UTF8などです.最後の<family>はフォントファミリーを指定します.空白でデフォルトの`song'(KSエンコーディングのみ`mj'が選択されます.
CJKの代わりにCJK*という環境がありますが,後者は空白が全部詰められてしまいます.日本語や中国語のみの場合はこれが便利でしょうが,英語や朝鮮語の場合には問題が起こる可能性があります.
以下のように,エンコーディングごとにCJK環境を記述してやることもできます.
… \begin{CJK}{SJIS}{} … Shift-JISによる内容 … \end{CJK} … \begin{CJK}{KS}{} … KSによる内容 … \end{CJK} …
さらなる詳細については,CJKパッケージに付属のドキュメントを参照してください.
以上でインストールについての説明は終了です.次は,Cyberbitフォントを使用して,UTF-8エンコーディングのファイルを処理してみます.dvioutの設定などについても説明します.