HPackとは,홍석호さんがパッケージングしたWindows用TeX/LaTeXのハングル環境設置パッケージ(KTUGによる)です.これをインストールすることで,HLaTeXや必要なファイルが設置されます.
ただしHPackに含まれるHLaTeXのバージョンは0.99であり,既に最新の1.0.1が別個に配布されています.よって,ここではあくまで紹介にとどめ,実際には新しいバージョンのHLaTeXを使用することをおすすめします.最新版のインストールについてはHLaTeXのインストールを参照してください.
[2006/04/21 追加] KTUG掲示板の記事(2006年4月15日)によると,HPackは現在obsoleteの状態であるため,HPackによりHLaTeXをインストールすることはできるだけ避けるようにとのことです.HLaTeXの半自動インストーラがKTUG掲示板にて紹介されていますが,管理者は試しておりませんのであしからず.
この文書は,以前のTeXで朝鮮語を使う+PDFの作成から一部を抜粋し,修正を加えたものです.
HPackのインストールといっても,HPackの配布元からダウンロードして,setupを実行するだけです.パッケージにはBasic(43.6MB)とFull(126MB)の2種類がありますが,とりあえずBasicパッケージをインストールすれば大丈夫です.
二つのパッケージの違いは,インストールされるフォントの分量です.
私がインストールしたときには,レジストリからファイルなどの情報を読み取れなかったらしく,エラーメッセージが出ましたが,それでも正常に動作しました.
インストールが終了したら,sample1.texを処理してみましょう.日本語文書のように,platexコマンドで処理するのではなく,latexコマンドで処理するのを忘れないように.
さて,朝鮮語のTeX文書を処理してみましょう.HPackを用いる場合,日本語と朝鮮語との混在文書は作成できません.ここではとりあえず,朝鮮語のみの文書を作成してみます.次のようなファイルを作り,エンコーディングをEUC-KRとして保存します.ファイル名は,仮にkorean.texとしましょう.
\documentclass{article} %% 日本語の文書とは異なり, %% 文書クラスがarticleである点に注意! \usepackage{hangul} \begin{document} %% 朝鮮語で「こんにちは」 안녕하세요? \LaTeX \end{document}
このファイルをLaTeXで処理します.日本語の文書ではないので,platexコマンドを使わない点に注意してください.
> latex korean.tex This is TeX, Version 3.14159 (Web2C 7.3.7) (./korean.tex LaTeX2e <2001/06/01> Babel <v3.7h> and hyphenation patterns for american, french, german, n german, nohyphenation, loaded. (f:/cygwin/usr/local/share/texmf/tex/latex/base/article.cls Document Class: article 2001/04/21 v1.4e Standard LaTeX document class (f:/cygwin/usr/local/share/texmf/tex/latex/base/size10.clo)) (f:/cygwin/usr/local/share/texmf/tex/latex/hlatex/hangul.sty 한글 문서 꾸러미 `hangul.sty' <2000/01/18>. (f:/cygwin/usr/local/share/texmf/tex/latex/hlatex/hfont.tex (f:/cygwin/usr/local/share/texmf/tex/latex/config/hfont.cfg))) (./korean.aux) (f:/cygwin/usr/local/share/texmf/tex/latex/hlatex/hswmj.fd) (f:/cygwin/usr/local/share/texmf/tex/latex/hlatex/hwwmj.fd) (f:/cygwin/usr/local/share/texmf/tex/latex/hlatex/hhwmj.fd) [1] (./korean.aux) ) Output written on korean.dvi (1 page, 476 bytes). Transcript written on korean.log.
できあがったkorean.dviファイルを,dvipdfmで処理してみましょう.
> dvipdfm korean.dvi korean.dvi -> korean.pdf [1] 40115 bytes written
できあがったkorean.pdfをプレビューしてみましょう.朝鮮語のフォントを埋め込んであるため,ファイルのサイズは若干大きくなっています.右の図は例題を拡大したもの.
詳細については付属のドキュメントをご覧ください.\usepackage{}でhangulではなく,hfontを使用した場合,ハングルのフォントだけが用いられ,章や参考文献などの題目に朝鮮語が用いられません.例えば,次のようなTeXソースを処理した場合を見てみます.
\documentclass{article} \usepackage{hangul} \begin{document} \section{첫번째} 안녕하세요? \end{document}
上の例では\usepackage{hangul}を使っていますが,これを処理したものと,\usepackage{hfont}に変えて処理したものとを比較すれば次のとおりです.
HPackを用いると,とりあえず朝鮮語を処理するのに必要なパッケージが設置されます.その点では手軽ですが,HLaTeXの新しいバージョンが出た今となっては,一日も早いバージョンアップが望まれるところです.
ご意見,間違いなどがあればご指摘ください.