以下は南豊鉉(1990)を部分的に要約し,例文(漢文部分)を補充,訂正したものである.章番號は要約者による.なお出典に下線が引いてあるものは,南豊鉉(1990)の記述を訂正したものである.
繫辭‘이-’の省略が頻繁に見られる.このような繫辭の省略表記は,楞嚴經に限らず記入吐全般に見られる現象である.15,6世紀には借字表記の印刷吐においても繫辭の省略表記が頻繁に見られ,繫辭の表記が嚴格になったのは한글の印刷吐になってからのことである.
- 則大心羅漢/이라 (4,2a,3) -> 是故當知鼻香 爲緣 (3,8a,3)
- 卽首楞正定/이오 (4,12a,1) -> 云何知滅 (2,1b,2)
- 微細思惟/인댄 (2,1b,12) -> 若從暗來 (3,1a,11)
- 可斷/이다 (2,7a,6) -> 無用情計 (2,7a,6)
繫辭の省略表記に比べれば,‘/’の省略表記は非常に稀で,一種の例外といえる.
- 聆放蚊蚋/팃야 (4,1a,12) -> 如虛空 不和諸色 (3,10b,9)
- 例稱瞪發/[이]라여샷다 (3,1b,4) -> 一一言性也 (3,11a,13)
繫辭の次に多く見られる省略表記が,‘/ㄴ’である.
①主題化添辭の省略②條件法語尾の省略
- 汝等之身/란 (2,2b,12) -> 根元 (4,16b,1)
- 以業言之/홀저긘 (4,6b,8) -> 以心 言之 (4,6b,9)
③冠形詞形語尾の省略
- 則 是色相 遷變/커든 (3,6a,11) -> 想念初動 (4,4b,4)
- 觀相/혼 (4,6b,4) -> 反復窮詰 (3,3a,11)
④その他
- 終非妙明明妙之眞也/인녀 (4,2b,6) -> 眼唯八百功德 (4,14b,4)
- 涉萬殊而不而논로 (2,5b,15) -> 吸塵 (3,1a,9)
- 發聞/논디 (3,1b,6) -> 流 (4,16b,11)
- 云何如來 頓棄因緣/시닛고 (4,9b,8)
- 旣無生死/란대 (2,2a,12) -> 必一於明 (3,14b,2)
- 暗成無見/이언뎡 (4,17b,8) -> 此但無明 (2,11a,9)
‘/ㄴ’の省略表記に比べれば,‘/ㄹ’の省略表記は頻度がかなり低い.
- 强生了知/ (4,2b,8) -> 吸此塵象 (3,1b,15), 此身死後斷滅 (2,1a,10)(1)
②先語末語尾の省略
- 應不識知虛空 所在/려닛녀 (3,6a,12) -> 應不知香 (3,7b,12)
③その他
- 汝猶不知/놋다 (3,12a,3) -> 空生一井 (3,14b,2)
- 不相陵滅/리고 (4,1b,7) -> 云何因悟 (4,5b,4)
- 復召告也/여샷다 (3,10b,12) -> 而疑見體舒縮 (2,6b,6)
- 應不頓朽[]/커닛여 샤(2) -> 無從自出 (3,15b,14)
- 不拒發揮也/팃니라 (4,6b,7) -> 不重爲木 (4,6a,3)
(以下作業中)
(1) ‘/’は「四」の略體.
(2) ただし原文では一つ目の‘/ㅅ’は見受けられない.
(3) ‘/’(4,1a,3)と辯別が不可能.
(4) 南豊鉉(1999:416)では恭遜法語尾‘/’の省略表記例として擧げられているが,不適切な例ではないか?なお南豊鉉(1999:416)では‘’となっているが原文により改めた.
(5) cf. …の分解表記.