2003年7月10日のスタディにおける
中島仁氏のレジュメを基に,須賀井がHTMLを作成しました.
吏讀,鄕札,口訣の槪念と表記法
吏讀
- 廣義: 吏讀(狹義),鄕札,口訣,三國時代の固有名詞,官職名の表記全てを含む借字表記の總稱.
- 大明律直解に“薛聰が作った方言文字を吏道(吏讀)という”という記述あり.
- ≪三國史記≫,≪三國遺事≫,≪訓民正音≫の鄭麟趾の序文などにも登場.
- 狹義: 吏讀文(朝鮮語の構文に從って書き下した一種の變體漢文)に使われた朝鮮語の借字表記.主に行政文書.民間でも書簡(告目),造成記,發願文などに廣く使われる.
鄕札: 鄕歌のように古代朝鮮語を全面的に表記した借字表記.
- ≪均如傳≫で“鄕札”という言葉が一度使われる.
- 均如の華嚴經記釋も鄕札だという主張があるが,後代に全て漢文にかわり現在見られない.
- 借字表記の≪詩經釋義≫(16世紀)は詩經の難解句を完全に朝鮮語に解釋し,借字表記したもので鄕札と見なくてはならない(1).
口訣: 漢文讀解の補助として語句の下に付記する形態部.漢文原典があり,それに吐がふってある.
- 釋讀口訣: 漢文を朝鮮語に解釋して讀む方法を吐で表示したもの.
- 順讀口訣: 漢文を漢文の順序どおりに讀み,朝鮮語の助詞や語尾を入れたもの.
借字表記の文字體系
- 音讀字: 漢字を音で讀み,その表意性を生かして利用した借字.
- 音假字: 漢字を音で讀むが,その表意性は捨て,表音性のみを利用する借字.
- 訓讀字: 漢字を訓で讀み,その表意性を生かして利用した借字.
- 訓假字: 漢字を訓で讀むが,その表意性は捨て,表音性のみを利用する借字.
- 讀字(表意字)=音讀字+訓讀字
- 假字(表音字)=音假字+訓假字
參考文獻
- 金完鎭(1980), ≪鄕歌解讀法硏究≫, 서울: 서울大學校出版部.
- 南豊鉉(2000), ≪吏讀硏究≫, 태학사.
- 安秉禧(1992), ≪國語史 資料 硏究≫, 서울: 문학과지성사.
- 李鉉淙(1971/2001), ≪改訂增補版 東洋年表≫, 서울: 探求堂.
- 李賢熙(2002), 古代의 吏讀와 鄕歌, ≪강좌 한국고대사≫제5권, 서울: (재)가락국사적개발연구원.
- 伊藤亞人・大村益夫・梶村秀樹・武田幸男監修(1986/1996), ≪朝鮮を知る事典(增補版)≫, 東京: 平凡社.
古代朝鮮語の吏讀資料は以下を參照
- 宋基中・南豊鉉・金永鎭共編(1994), ≪古代國語語彙集成≫, 韓國精神文化硏究院.
- 徐鐘學(1995), ≪吏讀의 歷史的 硏究≫, 嶺南大學校出版部.
吏讀資料は金石文と古文書に傳わっているが,ハングル創製以前の資料を集成した文獻は以下の通り
- 中樞院編(1919),≪朝鮮金石總覽≫, 國書刊行會再刊(1971).
- 李蘭暎編(1968),≪韓國金石文追補≫, 中央大學校出版部.
- 黃壽永編著(1976),≪韓國金石遺文≫, 一志社.
- 許興植編著(1984),≪韓國金石全文≫, 亞細亞文化社.
- 李基白編著(1987),≪韓國上代古文書資料集成≫, 一志社.
- 鄭求福 外(1997),≪朝鮮前期古文書集成≫, 國史編纂委員會.
- ≪古文書硏究≫(韓國古文書學會)
註
(1) 南豊鉉(1993), 借字表記의 ‘詩經釋義’에 대하여, ≪退溪學硏究≫7, 서울: 檀國大退溪學硏究所.